補聴器外来
補聴器外来について
当院では金曜日を中心に予約制で補聴器外来を行っております。
会話で聞き返しが多く不自由をしている、テレビの音が大きいと指摘を受ける等、そろそろ補聴器が必要かな?と感じたら、まずは耳鼻科での診察をお勧めします(後述する8項目のどれかに該当する場合は、耳鼻科受診の必要性があるからです)。診察後、聴力検査の結果をふまえて、補聴器が必要か否かを判断した上で、補聴器外来にかかって頂きます。
補聴器の購入を考えている方には希望により補聴器の貸出しを行っております。院内での試聴だけではなく装用効果を確認する為に、実際の生活環境の中で試すことも可能です。
そして使用した感想をもとに補聴器の微調整を行い再度貸出しすることもできます。十分に補聴器の効果を納得された場合は販売をいたします。さらに購入後も常に最良の状態で使用できるように点検・調整を行っていきます。
補聴器外来の流れ
① 診 断
一般外来を受診していただき、治療が必要な病気がないか診察します。純音聴力検査及び語音聴力検査(言葉の聞き取り検査)を行い補聴器の適応の有無を判断します。
なお語音聴力検査(言葉の聞き取り検査)は純音聴力検査を施行後、後日予約制で施行しております。(時間帯が合えば、同日に補聴器のフィッティングを行えます。)
② 補聴器相談
補聴器の専門員が使用目的や使用環境などを詳しく伺いながら、器種選択しフィッティング(患者さん個々の聞こえに合わせた調整)を行います。希望により補聴器の貸出しを行います。
③ 点検・調整
1~2週間ご自宅で補聴器を試していただき、再度補聴器外来を受診します。そのときに使用した感想を詳しく教えてください。必要に応じて再調整や貸出器種の変更を行います。継続しての貸出しも可能です。
④ 補聴器の注文
補聴器の効果が十分に感じることができましたら補聴器を決定します(あまり効果が実感できない場合は補聴器を返却していただいても構いません)。ご希望の種類、金額を考慮し、患者さんに合ったものを選びます。納品には1~2週間程度かかります。
⑤ フィッティング
「聞こえ」に合わせた音の調整を行い補聴器のお渡しをいたします。装着練習、操作の説明やクリーニング・保管方法について話をします。
⑥ アフターケア
日常生活で使用しながら、その状況に合わせて微調整を何度か行います。
調整がほぼ合ってきたら、その後は定期的に補聴器の点検やクリーニングを行います。
※購入後の点検・クリーニングにも予約が必要になります。 編著 院⻑ 木村暁弘
補聴器購入や耳型採取の前に確認するべき8項目「禁忌8項目」
1. 耳の手術をうけたことがある。
2. 最近3ヶ月以内に耳漏があった。
3. 最近2ヶ月以内に聴力が低下した。
4. 最近1ヶ月以内に急に耳鳴りが大きくなった。
5. 外耳道に痛みまたはかゆみがある。
6. 耳あかが多くたまっている。
7. 聴力判定の結果、平均聴力の左右差が25 dB以上ある。
8. 聴力測定の結果、500、1000、2000Hzの聴力に20dB以上の気骨導差がある。
上記8項目のうちどれかに該当する場合は、早期治療が必要、あるいは耳型採型が危険、という可能性が高く、耳鼻咽喉科医師の事前診察が必要である具体的な事項をまとめたものです。
(「一般社団法人 日本補聴器販売店協会制定の「禁忌8項目」」より)
実は補聴器は、町の眼鏡屋さんや電器屋さん、あるいは通信販売などでも購入できます。
しかし、そういった場合、「せっかく購入したのに、ちゃんと聞こえない」「耳に合わない」などの声が聞かれることがあります。
そういったことを少しでも減らすためには、耳鼻咽喉科医師と認定補聴器技能者といった補聴器の専門員の協力の下、試聴・貸出しなどを経てから購入して頂くことが大切だと考えております。更に、購入後のアフターケアも重要で、お一人お一人の生活環境や聴力にあった調整を何度も繰り返し、その方の耳に合ったものを作っていく必要があります。
また、2018年5月以降、必要な手順を踏んだ上で補聴器を購入する場合、医療費控除を受けることができるようになりました。補聴器購入者が医療費控除を受けるために
(すでに補聴器を購入している方は対象になりません。また、さかのぼって発行することもできません。)
難聴の患者様が、まず補聴器相談医を受診し、必要な問診・検査を受けるという手順を踏む必要があります。
当院ではご希望の方に「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」を自費で1620円で作成しております。
最近、Lancetという世界的に有名な医学誌に認知症の予防や治療などに関する最近の知見をまとめた論文の中で、「難聴」が認知症の最も高いリスクと報告されました。
人間の「生活の質(QOL)」における難聴の重要性が注目されており、WHOも難聴予防キャンペーンを実施しております。
「聞こえのしくみ」「難聴とは?」「難聴の影響」「加齢と難聴」「加齢性難聴の機序」「難聴の予防」など、イラストを用いて分かりやすく説明しています。
難聴の改善により認知症予防をはじめとして生活の質が改善できることが分かるようになっています。
難聴に対処することで認知症が積極的に予防できることについても触れられています。
「補聴器とはいつまでも若々しく健康的でいるためのいわばアンチエイジングツールなのです。」