ダニに対する舌下免疫療法 |渋谷区代々木の 南新宿クリニック耳鼻科・小児科

土日も診療。子育て中のお父さん、お母さんをも含めてサポートできる耳鼻科・小児科 南新宿クリニック。

ダニに対する舌下免疫療法

ダニに対する舌下免疫療法

アレルゲン免疫療法の種類

アレルゲン免疫療法には

・皮下注射法
・舌下投与法(ダニは2015年(小児では2018年)から公的保険で施行可能)

の2種類の方法があります。

 アレルゲン免疫療法は、唯一といってもいいアレルゲン(アレルギー症状を引き起こす原因となるもの)に対する体質自体を変えることによって長期にわたり症状をおさえる可能性がある根本的治療です。(舌下免疫療法はダニとスギ花粉に対して行うことができます。)

日本におけるアレルギー性鼻炎の2大原因は、ダニとスギ花粉です。くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状が現れます。

 ダニは主にヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニの2種類があり、塵(ちり)ダニと呼ばれます。屋内にはどちらのダニも多くいます。ハウスダストと一般的に言われるアレルギーを引き起こすものの混合物は、98%以上がダニであり、残り数%に真菌や昆虫が含まれます。つまり、ハウスダストアレルギーの原因は、ほとんどがダニであり、アレルギーの検査をすると、ハウスダストとダニの陽性率は99%程度一致しますので、ダニとハウスダストはほぼ同じと考えてよいかと思います。

 皮下注射法は比較的古くから行われ、抗原エキスを一定間隔(一般に週に1回)で注射し、徐々に注射量を増やし、抗原に対して過敏症を減らす治療法です。しかし、アナフィラキシーショックなど副作用が懸念されたり、注射による痛み、通院の手間などがネックとなり、普及はしていないのが現状です(当院ではハウスダスト、スギに関して、それも施行可能です)。それに対して舌下免疫療法は注射剤のネックをすべて取り除いたものです。副作用の心配がより少なく(安全性がより高い)、注射の苦痛はありません。そして、自宅で投与が可能です。

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ダニに対する舌下免疫療法

舌下免疫療法で治療した場合、治療を受けた患者の8割は症状が軽くなって効果を実感できると言われており、症状が完全におさえられない場合でも、症状を和らげ、お薬の使用量を減らすことが期待できます。(効果がない方も2割程度いらっしゃいます。)

 いくつか注意すべき点もあります。ダニのエキス剤は、3~5年以上の継続内服が必要になり、毎日投与する必要があります。また、少なくとも4週間に1回は、定期的に受診が必要になります。(導入当初は2週間に1回通院が必要です。)すぐに効果が出るものではなく、効果は早くて数週間で実感できます。効果には個人差があります。開始6ヶ月ほどで継続の判断を行います。

 また、ダニの舌下免疫療法のおける薬剤は2020年の時点でミティキュア(鳥居薬品)アシテア(シオノギ製薬)がありますが、当院ではミティキュアを採用しております。(どちらも効果は期待されますが、直接比較した検討はありません。)

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このような患者様にお勧め

・ダニアレルギー症状の根治(ダニに対するアレルギー体質を改善する)を希望される方

・飲み薬や点鼻スプレーをしても、症状が改善しない方

・飲み薬の眠気の副作用が強い方、薬の量を減らしたい方

・鼻の手術による治療を避けたい方

・将来(3年以上先)、妊娠を考えられている方(妊娠中の薬の減量効果あり)


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治療開始前の確認事項

□ 長期間の治療(最低3年間。5年が推奨)を受ける意志がある。

□ 舌下アレルゲン錠の服用(舌下に1分間保持)を毎日継続できる。

□ 少なくとも1ヶ月に1回は、定期的に受診可能である。(導入当初は2週間に1回)

□ すべての患者に効果が期待できるわけではないことが理解できる。

□ 効果があって終了した場合も、その後効果が減弱する可能性があることが理解できる。

□ 副作用等の対処法が理解できる。

(副作用のほとんどは口腔内の局所反応で、軽症を含め高い割合で出現するが多くは自己管理可能で治療を必要としません。しかし、消化器症状、蕁麻疹、喘息発作などの全身性副反応も稀ではあるが報告されているため、そういう場合は医療機関を受診が必要である。)


適応外・治療が受けられない方

□ ダニアレルギーが検査で証明されていない方

□ 5歳未満の方(65歳以上の方も当院ではお勧めしておりません)

□ 気管支喘息を合併している方(コントロールが良好な場合、できる場合もあります)

□ ステロイドの内服薬や注射薬の投与を受けている方

□ 悪性腫瘍(がん)や、免疫系の病気がある方

□ その他全身的に重篤な疾患を有する方。

□ 妊婦の方、授乳中の方

□ ダニアレルゲンを使った治療や検査によってアレルギー症状を起こしたことがある方


治療に際して注意が必要

□ 抜歯や口の中の手術後、または口の中に傷や炎症などがある方

□ 重症の心疾患、肺疾患及び高血圧症がある方

□ 他に服用中のお薬がある方(β阻害薬(インデラル、セロケン、テノーミン、アーチストなど)、抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬を使用している

□ 近いうちに妊娠を希望されている方(最低3年間の継続治療前に中止となる可能性があります)

□ ダニ以外のアレルゲンに対しても反応性が高い方

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副作用について

 内服開始1ヶ月の間は、服用後の軽微な副作用(口やノドの違和感、口の中の軽度の腫れ)はかなり高頻度に発生しますが、舌下免疫療法でのアナフィラキシーショック(重度の副作用)の報告は1億回に1回とされており、死亡事故は発生していません。初期の軽度の副作用を心配しすぎずに治療を継続することが重要です。

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<監修者情報>

木村 暁弘 院⻑

平成16 年東京慈恵会医科大学卒業。その後研修医として耳鼻科の専門性を高めるため、耳鼻咽喉科学教室に入局。同大学病院と関連病院にて耳鼻咽喉科診療、睡眠外来に従事し当院開院。日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医。いびき・睡眠時無呼吸症候群などの睡眠医療を専門とし、耳鼻科・小児科の連携による子どもから大人まで三世代が受診しやすいクリニックづくりをモットーとしている。
日本耳鼻咽喉科学会認定耳鼻咽喉科専門医、日本睡眠学会認定専門医、補聴器適合判定医