食物アレルギー
食物アレルギーについて
- 食物アレルギーとは
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本来は体に害を与えない食べ物を、異物と勘違いして免疫反応が過敏に働いてしまう現象です。
皮膚の症状(じんましんなど)や、呼吸器症状(咳など)や、消化器症状(嘔吐・腹痛・下痢など)が引き起こされます。時に、アナフィラキシー(短時間で全身にアレルギー症状が起こること)という重い症状が出ることがあるため注意が必要です。血圧の低下や意識障害などを引き起こし、場合によっては生命を脅かす危険な状態になることもあります。
- 原因となる食品
日本では主に卵、乳、小麦が多く、これらで3分の2を占めます。特に卵が多く、全体の約40%です。他にもピーナツ、果物類、魚卵、甲殻類、ナッツ類、そば、魚介類など、個人によって原因の食べ物は異なります。
- 食物アレルギーの診断
〇問診
いつ・何を・どれくらいの量を摂取して・何分後に・どんな症状が出たのかという詳細な情報から、原因となる食物や重症度などをある程度考えることができます。受診された際に詳しくお伺いしますが、以下の問診表を事前にご記入いただくとスムーズです。
よろしければ問診票をご記載の上、ご来院ください。
アレルギー専門医(小児科専門医)の木村絢子医師(副院長)の診療時がお勧めです。
〇血液検査
当院では主に特異的IgEというアレルギーの抗体を測定します。血液を採取して1週間ほどで結果が出ます。
しかし、検査が陽性となった食物でも、食べた時の症状を認めなければ食物アレルギーとは診断されず、除去する必要もありません。また、特異的IgE抗体の値からは、食べられる可能性がある食物の量や、誘発される症状の強さを正しく推定することは困難です。あくまでも診断の補助的な位置づけです。
よって、特定の食べ物を繰り返し摂取して症状がある方であれば検査をする意義はありますが、食べても症状が無い食品や、一回も食べたことが無い食品に対しては、検査を行って陽性反応があったとしても食物アレルギーとは診断されないばかりか、不必要な除去を促してしまうデメリットのほうが大きいことがあります。
また、全ての経路の食物アレルギーを反映するわけではないので、検査が陰性であっても食物アレルギーの可能性を否定できるわけではありません。血液検査よりも実際に摂取して症状があるかどうかが一番大切な診断の手がかりになります。
〇プリックテスト
皮膚の上に直接アレルゲン液をおき、プリックテスト専用の針で、軽く刺し、15分間待ちます。アレルギーの可能性があると、針で刺された部分に膨疹や発赤ができます。
〇食物負荷試験
確定診断には一番重要な検査です。疑われた食品を実際に食べてみて症状の有無を判定するため、症状が出る危険性があります。安全を確保した上で数時間の院内滞在が必要となるため、医師が必要と判断した場合は、検査できる病院をご紹介いたします。
- 食物アレルギーの管理
当院では必要最小限のアレルゲン除去を推奨しております。微量でも症状が誘発される方は完全除去が勧められますが、詳細な問診によりどの程度であれば安全に摂取できるかを常に考え、食品の種類や年齢、アレルギーの重症度などを考慮しアドバイス致します。 乳幼児期の食物アレルギーは年齢を経るにつれ改善し、自然に治癒していく可能性も高いことがわかっています。
近年、少しずつアレルゲンを摂取して慣らしていくという経口免疫療法が知られていますが、現段階では治療法は確立されておらず安全を確保しないと非常に危険となりうる治療です。そのため、研究目的で行っている施設で、臨床研究に参加できるという同意のもと行うべき治療と考えています。
- エピペンについて
エピペンとはアドレナリン自己注射のことです。重篤なアレルギー症状(アナフィラキシー)が起こった場合、命に関わるため、出来るだけ早い治療が必要となります。重篤なアレルギー症状を起こすリスクの高い方は、万が一の時に備えて、治療薬であるアドレナリン自己注射薬を携帯しておくことをおすすめします。
当院ではエピペンの指導と処方を行っております。医師が必要と判断した場合、1回目の受診で説明書を読んでいただき、エピペンのDVDをお貸し出しします。2回目の受診でエピペンをどういう時に使うか、使用方法を確認し、同意書記入を行っていただき、処方致します。
<監修者情報>
木村 絢子 副院⻑
平成19 年東京慈恵会医科大学卒業。研修医としてプライマリーケアを学び、小児科全般の治療に従事。その後、同大学医学部附属第三病院にて病棟⻑として勤務。小児科疾患以外にも、日本アレルギー学会アレルギー専門医として、小児アレルギー疾患を得意とし、お子さま
の健やかな成⻑を医療を通じて⾒守る医師として活躍。
日本小児科学会認定小児科専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医