ヒトパピローマウイルス感染症ワクチン
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、持続感染することで、以下の疾患の原因になります。性交経験がある女性であれば誰でも感染する可能性があります。
- 子宮頸がん
(子宮頸がんの原因となるHPVの代表:16型、18型) - 子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因で起こることが知られています。HPVはとてもありふれたウイルスで、性交渉の経験がある女性の80%以上が、50歳までに感染を経験すると言われています。特に若い年代の感染率は非常に高いと言われています。
初期には症状がほとんど現れず、気付いた時にはすでに進行していた、というケースも少なくありません。子宮頸がんの発見が早ければ、子宮の摘出手術などをせずに、子宮を守ることもできます。 - 外陰上皮内腫瘍
(発症に関係するHPV:16型、18型) - 外陰上皮内腫瘍は、外陰がんに先行して見られる場合がある腫瘍で、HPV感染が原因となっているのは約半数です。外陰がんは女性性器のお外陰部に発生するがんで、婦人科のがんの約3%を占めます。
- 膣上皮内腫瘍
(発症に関係するHPV:16型、18型) - 膣上皮内腫瘍は腟がんへ進行する可能性がある腫瘍で、HPV感染が主な原因です。膣がんは、女性性器の腟にできるがんで、女性性器がんの約1%を占めます。
- 尖圭コンジローマ
(発症に関係するHPV:6型、11型) - 直径1~3ミリ前後の良性のイボが性器や孔紋のまわりにできる病気です。痛みやかゆみがほとんどなく、さまざまな形状のイボができます。大きくなるとカリフラワーやニワトリのトサカのような状態になることもあります。再発しやすく完治は難しいといわれています。
妊娠している女性が尖圭コンジローマを発症していると、出産するときに産道で赤ちゃんにHPVが感染してしまう可能性があります。生まれて来た赤ちゃんがHPVに感染した場合、ごくまれですがのどにイボができる再発性呼吸器乳頭症(RBP)を発症してしまうことがあります。この場合、声がかれたり、イボが大きくなることで呼吸困難になり、命にかかわることもあります。イボを取り除くため、10回、20回と手術を繰り返すこともあります。 - 子宮頸がん予防ワクチンまとめ
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- 子宮頸がんの主たる発症原因HPV16/18に対し、ほぼ100%の感染予防効果が期待できる。
- また他の発癌性HPVに対する効果も(ある程度)期待できる。
- 既感染者の場合、自然免疫により獲得した抗体価では予防効果が期待できないが、ワクチン接種により、高い抗体価が持続するため再感染予防効果が期待できる。
- 接種時期と回数
- 全3回
2価ワクチン(サーバリックス→16型、18型)10歳以上)
4価ワクチン(ガーダシル→16型、18型、6型、11型)9歳以上)
(1回目・2回目の間は1ヶ月、1回目・3回目の間は6ヶ月あける) - (参考:
・MSD株式会社パンフレット
「若い女性に増えている女性特有のがんを知っていますか?」
・グラクソ・スミスクライン株式会社
「自分で守ろう。自分のからだ。今日からはじめる子宮頚がん対策」) - 監修:副院長 木村絢子
編著 副院長 木村絢子