花粉症、スギ花粉症に対する舌下免疫療法 | 渋谷区代々木の南新宿クリニック耳鼻科・小児科

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花粉症、スギ花粉症に対する舌下免疫療法

花粉症、スギ花粉症に対する舌下免疫療法

花粉症とは

 花粉症は花粉が抗原となって起こるアレルギー性鼻炎およびアレルギー性結膜炎で、鼻の症状の他に目の痒み、流涙を伴うのが普通です。
 また、症状は季節性が花粉の種類により、はっきりしています。東京での代表的な原因であるスギ、ヒノキ、ブタクサなどの花粉症は季節性で症状が激しいことが特徴で、強力な治療を必要とするのが普通です。
 症状や病態に応じて、当院では耳鼻咽喉科医、アレルギーを専門としている小児科医が必要あれば連携して対応することが可能です。

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スギ花粉症の治療方法

スギ花粉症は日本人全体の38.8%、東京においては47.0%(鼻アレルギー診療ガイドライン2020より)と有病率が非常に高い国民病です。患者さんには体の免疫機構が花粉に過剰に反応し、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状が現れます。

これに対して、抗原の回避(マスクや眼鏡による花粉暴露の軽減、花粉飛散が多い時期は外出を控えるなど)をすることは重要です。

その上で、医療機関で施行可能な治療としては

①薬物療法
(最も普及している治療法ですが、対症療法であるため投与を中止すれば短期間で症状は元に戻ります。)

②手術療法
(スギ花粉の時期だけでなく、通年性アレルギー性鼻炎で鼻閉症状が強い方にお勧めしています。)
アレルギー性鼻炎に対する下鼻甲介手術

③アレルゲン免疫療法

などがあります。

(当院はその全てに対応が可能です。)
その中で、アレルゲン免疫療法は、唯一といってもいい花粉症の根本的治療です。(ただし、すぐに効果が出るものではなく、来年以降に効果が出る治療です。効果には個人差があります。)

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スギ花粉症に対する舌下免疫療法

アレルゲン免疫療法には
・皮下注射法
・舌下投与法(舌下免疫療法:2014年10月8日から公的保険で施行可能)
の2種類の方法があります。

 皮下注射法は比較的古くから行われ、抗原エキスを一定間隔(一般に週に1回)で注射し、徐々に注射量を増やし、抗原に対して過敏症を減らす治療法で、効果の発現に日数を要すること(多くは少なくとも2〜3ヶ月)、有効率が6〜7割である等の欠点がありますが、効果が現れた場合は数ヶ月持続すること、従って、注射間隔を数ヶ月に1回まで延ばすことも可能な点は大きな長所です。しかし、アナフィラキシーショックなど副作用が懸念されたり、注射による痛み、通院の手間などがネックとなり、普及はしていないのが現状です。
 (当院ではハウスダスト、スギに関して、皮下注射法も施行可能です。)

 それに対して舌下免疫療法では、注射剤のネックが取り除かれています。副作用の心配がより少なく(安全性がより高い)、注射の苦痛はありません。そして、自宅で投与が可能です。今までは公的保険の対象外で、自費診療で一部の大学病院などで行われてきましたが、2014年10月8日から公的保険で施行可能になりました。(16歳以降は3割負担。5-16歳未満は東京都では無料。)
 舌下免疫療法で治療した場合、治療を受けた患者の7~8割は症状が軽くなり、そのうちの1割は症状がなくなる、つまり根治すると言う報告があります。(まだ、全国規模の大規模な報告はありません。)
 いくつか注意すべき点もあります。シダキュア(スギ花粉舌下錠)というエキス剤による治療は少なくとも3年以上の治療が必要で、シーズン外でも毎日投与する必要があります。また、少なくとも約1ヶ月に1回は定期的に通院することになります。
 WHOの見解では、治療期間は、3年~5年が望ましいと判断されています。治療期間は3年よりも4年、5年の方が、治療効果がより高く、長く維持される傾向があります。ある医学報告では4~5年間治療を継続すると、治療中止後も平均7年間は効果が維持されるという報告があります。治療終了後に症状が再燃した場合は、再燃後に1年間舌下免疫療法を追加することで、治療効果が再度得られたと報告されています。

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当院での適応

1.
5歳以上(かつ65歳未満) 
(65歳以上の方の臨床試験は行われておらず、安全性、有効性が確かめられていないため)

2.
採血検査を行い(当院で)スギの特異的IgEが上昇しており、なおかつ春のスギ花粉の時期に特に症状が強いこと。

3.
舌下免疫療法の確認事項の説明を受け、理解して頂いた上でそれに同意頂くこと。


(除外基準もあり、治療を希望される場合、詳細は受診時に説明させて頂きます。適応にならない場合、合併症や既往歴などから危険性が高い場合、継続していくことが難しいと判断させて頂いた場合は当院で治療を施行することは困難となります。)

参考文献:
『アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法の実際と対応』一般社団法人 日本鼻科学会 編

スギ花粉症でお悩みのかたには、皆さんにお勧めですが、特に下記のようなかたにお勧めしています。

花粉症の薬がたくさんいるので、少しでも症状をよくするか、薬を減らしたい。
眠気など、薬の副作用が強い。
まだ若いので、これからずっと毎年花粉症に悩むのを考えると心配。
高校・大学などの受験期がスギ花粉症と重なるので、少しでもよくしておきたい。
数年以内に妊娠の希望や予定はないが、将来に妊娠した際に薬が使いづらいのが不安。

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当院でのスギ花粉症に対する舌下免疫療法の流れ

当院初診の方は、治療を開始するまでに通常3回受診頂く必要があります。

第1回目
治療提案・採血検査
(治療希望者に)

第2回目
検査結果説明と適応判断・治療説明
(適応のある治療希望者に)

第3回目
治療開始


 また、当院においては初回の治療開始時(上記の第三回目の診察時)は月・火・木・金の9:00-11:00に来院して頂く必要があります。
 多くの方にお申込み頂きましたが、適応にならない方、様々な事情で治療法が向かない方は、理由をご説明の上、残念ながら治療導入を断念させて頂く場合もございました。また、2018年6月下旬にシダキュアという薬も発売され、選択肢が増えました。新規導入の場合はシダキュアを導入しております。(下記の比較表もご参照ください。)
 2016年からダニに対しても舌下免疫療法の薬が認可されました。但しその場合も、安定するまではスギとダニを併用することができないため、双方にアレルギーがあり同時に治療する必要がある場合は、皮下注射法の方が勧められる場合もあります(舌下投与法より副作用のリスクが高いです)。また、アレルゲン(アレルギーの原因)が多数ある場合は、効果が期待しづらくアレルゲン免疫療法自体が向かない場合があります。

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舌下免疫療法の治療を受けるには

2023年の治療導入のための初診受付は、2023年5月16日(火)から11月28日(火)(初回導入は12月5日(火))までとする予定です。
(5-15歳の小児におけるスギ花粉症、ダニに対する舌下免疫療法は、当初耳鼻科と小児科の二科を受診頂きます。)
(ダニアレルギーに対する舌下免疫療法の受付は時期は問いません。初回導入は平日になります。)
(2023年1月加筆修正)

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<監修者情報>

木村 暁弘 院⻑

平成16 年東京慈恵会医科大学卒業。その後研修医として耳鼻科の専門性を高めるため、耳鼻咽喉科学教室に入局。同大学病院と関連病院にて耳鼻咽喉科診療、睡眠外来に従事し当院開院。日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医。いびき・睡眠時無呼吸症候群などの睡眠医療を専門とし、耳鼻科・小児科の連携による子どもから大人まで三世代が受診しやすいクリニックづくりをモットーとしている。
日本耳鼻咽喉科学会認定耳鼻咽喉科専門医、日本睡眠学会認定専門医、補聴器適合判定医