スギ花粉症+ダニアレルギーに対して両方の舌下免疫療法 | 渋谷区代々木の南新宿クリニックアレルギー専門サイト
スギ花粉症とダニアレルギーの舌下免疫療法併用治療
スギ花粉症とダニアレルギー性鼻炎は日本人でよく見られる病気ですが、どちらか一方だけでなく、スギ花粉とダニの両方にアレルギー症状が出る方もいらっしゃいます。スギ花粉症、ダニアレルギー性鼻炎にはいずれも舌下免疫療法で治療可能です。舌下免疫療法で服用するお薬はそれぞれ異なりますが、同時に治療を行うことも可能です。スギ花粉・ダニの舌下免疫療法の併用治療に関する安全性について報告されており(湯田厚司, 2022*)、当院でも併用治療を行っております。

*湯田厚司. スギ花粉とダニの舌下免疫療法の最近の動向. 日耳鼻 1285:1071-1077. 2022
*Gotoh, M., Okubo, K., Yuta, A., Ogawa, Y., Nagakura, H., Ueyama, S., … & Okamoto, Y. (2020). Safety profile and immunological response of dual sublingual immunotherapy with house dust mite tablet and Japanese cedar pollen tablet. Allergology International, 69(1), 104-110.
舌下免疫療法の併用治療の手順
当院でのスギ花粉症+ダニアレルギーに対して両方の舌下免疫療法を行う手順
1.基本的には困っている方(スギ花粉orダニ)から単剤で舌下免疫療法を開始します。
両方困っているようであれば、比較的副作用が少ないスギ花粉症の舌下免疫療法を先行します。
スギ花粉症飛散期には、スギ花粉症の舌下免疫療法を開始することができないため、ダニの舌下免疫療法を先行します。(花粉症症状がコントロールできていることが前提)
2.単剤の舌下免疫療法を1.5カ月以上経過し、副作用がなく安定して継続できているようであれば、追加してもう一剤の舌下免疫療法を行います。
3.併用治療開始時は、副反応時の原因薬を明確にするために時間を空けて投与します。
(当初の1か月は、朝、夕に分けることをお勧めしています。)
4.両方の舌下免疫療法を副作用がなく安定して1カ月以上継続しており、
使用後に副反応がなければ、5分空ければ連続投与も可能と考えております。
同時治療の開始スケジュール例
スギ花粉症とダニアレルギー性鼻炎の舌下免疫療法を併用して行う場合、いずれかのお薬の服用を開始してから1カ月間は安全に治療が続けられそうか判断するテスト期間を設けています。
例えば、
【6~8週間後】
スギ花粉症の舌下免疫療法継続
+
ダニアレルギー性鼻炎の舌下免疫療法開始
スギ花粉症の治療を継続して重篤な副作用が出ないことが確認できたら、
スギ花粉症の治療を継続しながら、
ダニアレルギー性鼻炎の舌下免疫療法の治療を開始します。
ダニアレルギー性鼻炎も1カ月間はテスト期間として、
重篤な副作用が見られないか様子を見ながら服用していきます。
※副作用が見られたときは…(こちらをクリック)
【12週間後】
スギ花粉症の舌下免疫療法継続
+
ダニアレルギー性鼻炎の舌下免疫療法継続
いずれの治療においても重篤な副作用がでないことが確認できたら、
スギ花粉症・ダニアレルギー性鼻炎の舌下免疫療法の併用治療を継続していきます。
治療継続中に副作用が見られたときは…(こちらをクリック)
治療する薬剤について
スギ花粉症に対しては「シダキュア」
ダニアレルギーに対しては「ミティキュア」
を使用しております。

シダキュア・・・スギ花粉症 | ミティキュア・・・ダニアレルギー | |
治療開始期 | ![]() | ![]() |
治療継続期 | ![]() | ![]() |
お薬の名前、包装の色に注意して間違えないようにしてください。
注意いただきたいこと
以下のような場合には、治療開始を見送ることがありますのでご了承ください。
・感冒時や体調が悪いとき
・口腔内の掻痒などがひどいとき
・抜歯後など口腔内の術後、口腔内に炎症があるとき
・喘息発作時、気管支喘息の症状が激しいとき
治療を中断していたが、再開する場合
・服用を長期に中断した後、再開する場合には、医師に相談するようにしてください。いきなり再開すると呼吸困難などのアナフィラキシー症状を起こす可能性があります。再開する場合には、治療導入の時と同様に、医師の判断の元、再びシダキュアは2000/ミティキュアは3300というアレルゲンの少ないお薬から再開します。順調なら1週間でシダキュアは5000/ミティキュアは10000に変更して、治療を継続していきます。再開する際、場合によっては、診察時に舌下投与してもらう必要があるため、再開を希望される場合は残っているお薬をご持参ください。
※中断期間の目安※
再開する場合に医師に相談が必要な期間としては下記が目安になります。
・服用開始1か月以降経過し、安定していた場合で丸7日間以上中断していた場合
・2000または3300という単位に戻して内服した日から1か月以内の場合、スギ花粉/ダニアレルギーの症状が継続して強く出ている場合、以前副作用が出たことのある場合などでは、丸3日間以上中断していた時
服用開始1か月以降経過しで安定している維持期であれば、7日以内の旅行・修学旅行・宿泊を伴う合宿などに舌下錠は持参しなくて大丈夫です。体調に問題なければ、帰宅後から再開してください。
更に間隔があくようであれば、ご相談ください。
その他注意していただきたいことは、スギ舌下免疫療法、ダニ舌下免疫療法のページをご覧ください。
<監修者情報>

木村 暁弘 院⻑
平成16 年東京慈恵会医科大学卒業。その後研修医として耳鼻科の専門性を高めるため、耳鼻咽喉科学教室に入局。同大学病院と関連病院にて耳鼻咽喉科診療、睡眠外来に従事し当院開院。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会耳鼻咽喉科専門医。いびき・睡眠時無呼吸症候群などの睡眠医療を専門とし、耳鼻科・小児科の連携による子どもから大人まで三世代が受診しやすいクリニックづくりをモットーとしている。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定耳鼻咽喉科専門医、日本睡眠学会認定専門医、補聴器適合判定医

木村 絢子 副院⻑
平成19 年東京慈恵会医科大学卒業。研修医としてプライマリーケアを学び、小児科全般の治療に従事。その後、同大学医学部附属第三病院にて病棟⻑として勤務。小児科疾患以外にも、日本アレルギー学会アレルギー専門医として、小児アレルギー疾患を得意とし、お子さま
の健やかな成⻑を医療を通じて⾒守る医師として活躍。
日本小児科学会認定小児科専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医